かんざしで「きれいになりたい」という気持ちに応えたい〜ゼロからかざり簪職人を目指した津留崎千勢さんをご紹介

[和文化・コラム]

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最終更新: 2017/08/21

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最終更新: 2017/08/21

 

こんにちは!趣通信のしーまんです。

みなさん着物を来たことのある方は、髪飾りに簪(かんざし)を使ったことのある方も多いのではないでしょうか?簪をスッと差すと、気持ちが華やかに、特別な気持ちになります。

今回は、歌舞伎や日本舞踊などで使われる、金属を削ったり彫ったりしてつくる、錺簪(かざりかんざし)の職人を目指す女性・津留崎千勢(つるさきちせ)さんをご紹介します。

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職人の家系でも、ツテがあったわけでもない津留崎さんが数少ない錺簪の世界に入るまでの道のりと、量産品の髪飾りやジュエリーが台頭している現在で、津留崎さんの目指す職人像を伺いました。

 

理想の簪を作るために、ゼロからスタートした職人への道

「母は、築地で美容室をしています。そこで着付けられてきれいになっていく人を見ることが多く、きれいだなと眺める中、“わたしなら、あの着物にはあんな髪飾りをつけたいなぁ”と想像している自分がいました。

当時自分は、本当に自分のやりたいことは何かと、悶々と仕事をしている最中で、自分が興味の持てることを探す生活を2年近く過ごしていました。そんなときに、簪職人になったら自分のほしい簪を作ったり、もっとその人に似合う簪を提案できるのではないかと思ったんです。」

 

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簪職人を目指した当初、津留崎さんは当時30歳。でもまず頭に浮かんだ考えは、「何にも技術のないわたしを、弟子にしてくれる職人さんはいないだろう」。職人の世界といえば、高校卒業とともに弟子入り、生まれた家庭が職人の家系だったなど、もっと若いうちから修行をするのが当たり前のような世界に感じます。津留崎さんは、とにかく何か技術を身に着けなければと思い、ジュエリーの専門学校へ通うことにしました。

 

「簪職人になったという前例はありません」と言われて始まった専門学校生活

“ジュエリー”という横文字から”かんざし”が出てくる方はとても少ないのではないでしょうか?ジュエリーの専門学校の卒業生は数多いても、「簪職人になった卒業生はいない」と先生に言われたそうです。

 

「簪の授業はもちろんなくて、でも当時のわたしには知識も技術も何もないので、1年目はとにかく工具の使い方など基本的なことを学ぼうと思いました」

 

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やると決めたら突き詰める、津留崎さんの1年目はとにかく技術と知識を吸収することに時間を費やしていったそうです。

 

錺簪(かざりかんざし)と師匠・三浦孝之さんとの出会い

小さい簪の中に、季節感と自然を表現する錺簪

専門学校の1年目があっという間に過ぎて、2年目は自分の作りたい簪を作っている師匠を探すことにしました。ですが、世の中に出ている簪の多くは量産品やプラスチックのものばかり。そんな中で見つけたのが、現在の師匠・三浦孝之さんの作品でした。

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「簪という小さな品物の中に、季節感や自然を装飾のみで表現していて、デザイン性や品格も兼ね備えていて、日本人の美意識のようなものを感じました。感動してしまったんです!これだと思いました」

 

「弟子はとらないけど、遊びに来ていいよ」

三浦さんに連絡をしてみたところ、催事会場で実演をするというのを教えてもらい、津留崎さんはさっそく会場に足を運びました。初めて自分が目指す簪職人の技術を目の当たりに出来て、気持ちは高ぶるばかりだったようです。

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「弟子入りについて聞いてみると、「弟子は取らないけど、遊びに来ていいよ」と言ってくれたんです。来てもいいって言って下さって、本当に嬉しくて、何かイベントで実演されると聞けば通っていました」

 

“弟子はとらない”と言われたら、なんとなく断られたのでは?と思ってしまうのですが、津留崎さんはやっと出会えた技術に真正面から向き合っていきました。仕事のジャマにならないように、でも技術が見たい…「30分実演で技術を見ては、邪魔にならないように端に避ける」の繰り返しだったようです。

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巡ってきた弟子入りのチャンス

津留崎さんが三浦さんに出会って、通い続ける中、半年が経とうとしていた頃のこと、「10年以上師匠のもとに通っていたお弟子さんが辞められるという話を聞き、そのタイミングで弟子入りさせてもらえるようになりました」と当時を振り返る津留崎さん。

 

ですが実際に三浦さんのところには、津留崎さんだけでなく、弟子にしてほしいという方は訪れていたといいます。こうして弟子入り出来たのは、何度も足を運び、技術を学びたいという津留崎さんの姿勢が三浦さんに届いたからではないでしょうか。

 

若い人にもジュエリーのようにかんざしを身に着けてもらいたい

三浦さんのところに弟子入りをして、約2年。現在は週3回、三浦さんの工房に通い、他にも彫金の学校、卒業したジュエリー学校のお仕事や、自宅でも自分の作業台で仕事をしているそうです。弟子入りをした師匠のもとだけでなく自分の作りたいものを探求していく、津留崎さんの姿勢の先には、どんな職人像があるのでしょうか?

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簪もジュエリーも「きれいになりたい」気持ちに応えるのは一緒

「ジュエリー学校に入ったときには、簪とジュエリーは別物という考えで、簪職人に弟子入りするために、何かできることを増やそうと思っていました。でも実際にジュエリーを学んでいくと、「きれいになりたい」という人の気持に応えるものであったり、指輪も簪も魔除けの意味合いがあることなど、簪とジュエリーはそんなに遠いものではないなと思ったんです。むしろ、簪もジュエリーのような感覚で使ってもらえるように提案できるようになりたいと思いました」

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現在津留崎さんの扱う仕事は、若い人の間で人気のあるようなジュエリーのデザインも含まれ、簪だけに収まりません。

 

人の気持ちに応える技術に限界を持たない職人に

「いずれは、オーダーで簪を作れる職人になりたいと思っています。でもそのときに、お客様の要望に応えられたり、提案できることに限りを持たせたくなくて。だからいろんなことを吸収して、師匠のような素晴らしい技術で応えていけるようになりたいんです」

 

コツコツと一歩づつ、何もない状態からのスタートでも、やり続けることで道がひらけるということを教えていただいた津留崎さん。

「今は師匠のもとで技術を教えてもらうのが本当に楽しくて幸せです」と、師匠の横ではちきれんばかりの笑顔。

 

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現在の仕事の内容は、簪の足を切ったり削ったり。真鍮の板に書かれた一本の線を糸のこで切ったり、簪の足先を“今日は昨日よりも、もっときれいに削れるように”ひたむきに努力する日々だそうです。

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いつか津留崎さんに素敵な簪をオーダーしたいですね。それまでにわたしも簪が似合う素敵な女性になりたいなと思いました。

 

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この記事を書いた人
しーまん
しーまん

毎月第2日曜日に「きものでかける」という着物お出かけイベントの企画・運営をしております。その他日本文化講師、ライター、スタイリングなど着物に関わる何でも屋さんです。面白いことを考えたり伝えたりすのが大好きなので、趣通信では着物や日本文化についてワクワクしながら読んだり見ていただけるものを作っていきたいと思います!

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