七宝焼という “技法” の良さを大切に、そしてもっと “自由” に。七宝焼き帯留め kimitoデザイナー・植木未斗さん

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最終更新: 2017/09/13

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最終更新: 2017/09/13

 

趣通信スタッフのちあきです。

和を感じる上品な色使いとシンプルでモダンなデザインが人気の七宝焼き帯留めブランドkimito。その美しさには幅広い年齢層のファンが魅了されています。

作り手は七宝デザイナー・植木未斗さん。おしゃれな着物と自身の帯留めとのコーディネートも注目を集める植木さんに、趣-omomuki-代表のケビンがkimitoを立ち上げるまでのストーリーや七宝焼き作りのこだわりなどをインタビューをさせていただきました。

 

 

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七宝デザイナー

植木未斗

1990年生まれ。東京都出身。書道家の両親の元、幼少より書の教育を受ける。
16歳の時、七宝焼に出会い、その無限大の表現方法、一発勝負に賭ける緊張感に強く惹かれ、この技法と共に表現者としての道を歩み始める。

2010年 日本七宝指導者教会教会展奨励賞を最年少受賞
2011年 一年間のドイツ留学 Berlinにてグループ展に参加
2012年 七宝焼kimito設立
2013年 帝国ホテル正月イベントにて七宝焼講師として参加
2014年 SHARP AQOS 4K コマーシャルにて帯留が使用される
2015年 伊勢丹新宿にてPOPUP&ワークショップイベント

 

日本の伝統工芸・七宝焼きとは?

ケビン
お恥ずかしながら、実はkimitoに出会うまで七宝焼きがどんなものかよく知らなかったんです。七宝焼きの歴史やどんなものに使われてきたのか、改めて教えていただけますでしょうか?

 

 

 

植木

七宝焼きは、金属板にガラス質の釉薬を焼き付けた、焼き物の一種です。細かな模様や様々な色使いが美しく、古くから愛されてきました。花瓶やお皿としてはご覧になったことがあるかもしれませんね。

伝統工芸としての七宝焼きは中国や日本といったアジアのイメージがありますが、もともとはヨーロッパからシルクロードを渡って日本にやってきました。一番古い七宝焼きは、なんとエジプトのツタンカーメンのマスクに使われた装飾なんだそうです!

日本で七宝焼きが最も栄えたのは名古屋で、お城や器の装飾に使われていました。明治時代に海外に向けて日本の芸術品をアピールしようと注目され、そのころ技術も大きく伸びたと言われています。

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植木さんの七宝デザイナーとしての歩み

ケビン
植木さんご自身が七宝焼きを始めたきっかけをお聞きしたいのですが、ずっと物作りにご興味があったのでしょうか?

 

植木
はい、両親が父母は書道家で、両親の友人も作家が多かったことから、自分も何かを作って生きていきたいと思っていました。

七宝焼きを始めたきっかけは、10代半ば、父が七宝焼きの先生を紹介してくれたことです。その頃は、自分には何が合うのか、将来何をしようかと考えていたころでした。

先生の教室に通い始めたものの、最初は全然上手くいかなかったんですよ。

七宝焼きは焼くことで形になりますが、作品を決定づける最も重要なそのステップを作り手がコントロールすることはできません。金属とガラスという複数の要素がどう組み合わさるか、温度によってどんな変化があるか。釜に任せるしかないんです。

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絵や彫刻と違い、作り手が完成まで全てを担うことはできないし、後から修正することもできない。完成形が想像できないという、ある意味「面倒な」ところに想像意欲が刺激されて、もっと追求したいという気持ちが生まれました。

その時々の素材や温度といった様々な要素の組み合わせが、唯一無二の作品を生み出すので、今も毎回新鮮な気持ちで作っています。釜を開ける瞬間はわくわくしますね。

 

ケビン
七宝焼きを着物のアクセサリーとして使おうと考えたのはどんなことがきっかけだったんですか?

 

 

 

植木
私自身の成人式が、初めて七宝焼きで帯留めを作った機会でした。大きな帯留めを自分用に作ったんです。

着物に目が向いたのも成人式がきっかけですね。それまでは着物や日本の伝統に特別関心があったわけではなかったのですが、様々な美しい着物から一着を選んだり、小物とコーディネートしたり、とても楽しくて。

着物が大好きになって、これからも七宝焼きを帯留めなど着物に使うアクセサリーとして活かしていこうと考えました。着物が好きな方は産地や素材といったことに関心がある方も多いので、きっと七宝焼きにも興味を持ってもらえるだろうと思いましたね。

 

ケビン
その後は1年間ドイツに留学されていたそうですね。

 

植木
はい、知人の一家にしばらくドイツで暮らしてみないかと誘われて。ドイツにも釜を持って行き、七宝焼きを作り続けました。今の私の作風は、ドイツでの生活に大きな影響を受けているんです。

両親の書道の作品に囲まれて育った日本では、私も好んで茶色や黒といった渋色の作品を作っていました。しかしドイツでは家も人々のファッションもとても色鮮やかで。日常生活の中で帽子から靴まで全身紫の服装の人や、ショッキングピンクとブルーの壁紙などを見ていると、自分の作品にも違和感なく様々な色を使うようになったんです。

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そんな海外での生活の間にもずっと、着物を着たい、着物に合わせる七宝焼きを作りたいという気持ちは大きくなるばかりでした。そして帰国後、帯留めブランドkimitoを立ち上げました。

 

七宝焼きの “技法” を活かすことを大切に

ケビン
ドイツでの生活が植木さんの七宝焼きを大きく変えたとは驚きです!他にも植木さんならではの七宝焼き作りのこだわりを教えていただけますか?

 

植木
そうですね、一番は七宝焼き作りの様々な技法の面白さを大切にして製作していることです。もちろん色や形といった要素も考慮していますが、七宝焼きは素材や焼く時の温度で見た目が変化しますから、もともとデザインを考えていてもその通りには行かないことが多いんですよ。最初から完成形を計画してできるだけその通りに作ろうと思うと、なんだか縮こまった作品ができてしまうんです。

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だから、私は七宝焼きの技法を制限とするのではなく、そこから生まれる形を生かした作品を作っていきたいと考えています。素材に無理をさせず、やりすぎない。私が何かを作るというよりも、七宝焼きの良さをどう引き出させていただくか、という気持ちです。

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また、私は七宝焼きを実際に買って使える身近なものにしたいと考えて、帯留めやピアスといったアクセサリーを作っています。

私が七宝焼きを始めた頃は、七宝焼きといえば大きくて高価な芸術作品を作るための技法が主流でした。しかし七宝焼きには様々な技法があり、中にはもっと手頃で手に取りやすい作品を作る方法もあります。

それらの技法にも目を向けてもらい七宝焼きをもっと身近にしたいという気持ちがあって、アクセサリーとしての制作を始めました。

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ケビン
今後はどのような物作りをしていきたいとお考えですか?

 

植木
現在のアクセサリー作りに加え、それら七宝焼きの様々な手法を使って、作品としての自由な物作りをしていきたいですね。

七宝焼きの世界も高齢化して作る人が減っているというのが現状ですが、私は世の中に様々な七宝焼きを生み出していきたいんです。自分としても、作り手としての挑戦の幅を広げていきたいと思っています。

また制作手法を伝えることで、後世に七宝焼きの技法を残していきたいですね。

 

 

七宝焼きの技術を大切にし、身近なものとして世に広めていきたいと語ってくださった植木さん。実際に使う人のために帯留めを一緒に選ぶこともあるそうです。最後に、七宝焼き帯留めの選び方を教えていただきました。

 

七宝焼kimitoのおすすめ帯留めシリーズ

帯の上でポイントになるものが欲しい方には、一色の帯留めシリーズ。単体で見るとシンプルですが、どんな帯の上でも目立ちます。

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逆に単体で見ると賑やかな印象ですが、以外にどんな帯でも馴染みやすいのは、複数の色が入り混じったこんな帯留めです。

 

七宝焼きは丈夫で、ツヤ感からくる上質感があり、幅広い年齢層の方に人気です。

七宝焼kimitoさんは10月6日〜8日に開催されますきものサローネin日本橋2017にも出展されます。実際に植木さんが作られた七宝焼kimitoの作品をご覧いただくことができますので、皆さんもコーディネートのアクセントにいかがでしょうか?

 

kimito 公式サイトはこちら

kimito オンラインショップはこちら

Instagramアカウント:kimito_cloisonne

Facebookアカウント:七宝焼帯留 kimito

Twitterアカウント:@ue_kimito

※Twitterは植木さん個人のアカウントです。

 

きものサローネの詳細はこちら

 

 

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この記事を書いた人
ちあき
ちあき

趣通信編集部スタッフの島田ちあきです。 着物デザイン事務所で働いたことがきっかけで着物好きに。 趣味は海外でアートな写真を撮ること、イラストを描くこと。 着物コーディネートや和グッズの情報はもちろん、普段はなかなか見えない、背景にあるモノづくりの情報も発信していきます♪

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