一人一人にぴったりな着物を。MarMu(マーム)デザイナーの中村麻美さん・amuco.さんインタビュー
趣通信スタッフのちあきです。
2匹の猫が運営する着物ブランドというストーリーのもと、スカーフの柄にヒントを得た個性的でチャーミングな着物を発表するブランド、MarMu(マーム)。着姿が美しくなるように研究された「マイサイズ」仕立てやユニークで目を引くグラフィックが人気です。
デザイナーである中村麻美さんとamuco.さんのお二人に、代表のケビンとスタッフかっくがインタビューさせていただきました。
Marmu(マーム)
ファッションデザイナー中村麻美とグラフィックデザイナーamuco.の2人で作る東京拠点の着物ブランド。
中村麻美(写真左)
アパレル業14年目着物歴33年目。3歳から日舞を習い始めたことで着物と出会う。
テキスタイル・着物好きが高じてニットデザイナーをしながら月に10日ほど着付け講師をしつつ、着物ブランドMarMuをamuco.と2015年よりスタート。
MarMuではマイサイズ採寸師として誂える時の、仕立てのご相談担当。
amuco.(写真右)
グラフィックデザイナー16年目。芸術と民芸が側にあり、着物が馴染む白壁の町で育つ。
生まれ育った環境もあり自然と芸術を学ぶ道へ進み、絵を描くこと、デザインをすることが生業に。
不思議なご縁のもと2013年より着物デザインの仕事へ。
2015年スタートのMarMuでは図案担当として麻美と共にものづくりに向き合う。
目次
徹底したパーソナライズ。オーダーメイドの色やMarMuオリジナルの採寸で一人一人にぴったりの着物を
ケビン
今日は僕も仕立てていただいたMarMuの着物を着てきました。ドット柄ですが男性が着てもおしゃれですよね。
amuco.
単一の色で濃淡をつけたドット、かつ強めのグレーの組み合わせなので男性が着るにも自然な色使いです。
生地はお客様毎に1着1着オーダーメードで色を決めています。お客様のテイストはもちろん、肌馴染みも考慮して一緒に選ぶんです。だからこのカラーはケビンさんのオリジナルです!
ケビン
お二人と一緒に自分に合うのはどんな色か選ぶことができ、着物ができるまでの課程もとても楽しかったです。
amuco.
ドット柄の着物「ドットスカーフ」はMarMu立ち上げ時に発表したファーストコレクションですが、これまで何度も細かいデザインの調整をしているんです。
ドット柄って、簡単に作れそうだと思いませんか?実は幾何学模様は写実的な柄よりもデザインが大変なんですよ。
縫い代の部分もそうでない部分も、ドットとドットの位置関係や幅が同じになるように作っているんです。幾何学模様はシンプルだからズレなどが目立ちやすいのですが、縫い目をまたぐ部分も妥協したくなくて何度も調整しました。
かっく
サイズも身長や裄丈から割り出すだけでなく、褄下や抱き巾まで、かなり細かい採寸をされているんですよね。MarMuの着物はすごく着やすいと評判です。
中村麻美
そうなんです。MarMuの着物は仕立て上がりのプレタはなく、全てその方に合わせたサイズでお仕立てします。「マイサイズ」という採寸師協会オリジナルの採寸と割り出し方で、通常のお仕立てよりもずっと細かく寸法の指定をして1着1着作っているんです。
着物って初心者の方には特に着るのが難しい。その理由のひとつにサイズ感があると思うんです。プレタの着物は許容範囲を広げるために大きく作られていて、測ってもらって、お仕立てしても大きいと感じることがありませんか?私たちはいつの間にか、入れ物である着物の大きさに着付けで合わせるのに慣れてしまった。それでは着付けにくいし、初心者さんには難しいです。
着物が先か?身体が先か?私なら自分の身体を優先して、着物はそれに合わせて作りたいと思います。衣服はその人を引き立てる道具のひとつでしかありませんから。
それでMarMuはプレタなし全て仕立てることにし、その人にぴったりのサイズを提案して、カッティングが美しくなるように縫い目の位置も工夫して作っているんです。
二人のチームだからお互いの強みを生かしてMarMuを続けることができた
かっく
お二人はどんなきっかけで一緒にMarMuを始めることになったんですか?
amuco.
もともと麻美さんは洋服のデザインや生産管理、私はキャラクターグッズのデザインをしていて。勤めている会社は別だったのですが、二人ともプライベートで同じ着物屋さんで商品企画をしていました。その着物屋さんのご紹介で会って意気投合し、出会って2回目で一緒にブランドを始めることにしたんです。
当時はお互い企業に所属した商業デザイナーだったので自分の名前が表に出ることがなく、いつかオリジナルの商品を製作したいと思っていたんです。
中村麻美
私が仕上がりまでのプロセスを設計して、amuco.さんが絵柄をデザイン。二人ともずっとものづくりの現場で働いてきたから作ること自体は比較的スムーズだと思います。
意見がぶつかって半年喧嘩していたこともあります。でもそれは二人ともいい仕事がしたいから。迷ったらお互いに相談できて強みを活かし合うことができています。二人でなければMarMuを続けることはできなかったと思いますね。
ケビン
そんなお二人は、お互いの強みはどんなところだと感じていらっしゃいますか?
amuco.
麻美さんは心臓に毛が生えているところですね(笑)。トラブルが起こっても冷静に処理してしまう。一枚の着物ができるまではたくさんの工程がありますから困ったことも起きますが、麻美さんなら解決できるんです。
中村麻美
amuco.さんの強みは、何度でもデザインを修正したり微調整したりするのを厭(いと)わない完璧主義なところ。お客様のためにベストを尽くしたいから、完成度を可能な限り高めたいという気持ちを共有できることは大きいです。
この世界に入りたい!お客さんの声に応えるために始める新しいサービス
amuco.
これまでにたくさんのお客様がMarMuの着物を愛用してくださって、色んな声をいただきました。その声を元に、これからはMarMuの世界をもっと楽しんでいただくためにオリジナルの撮影も始めたいと思っています。
中村麻美
「ガーデン」シリーズを発表した時、写真作品のためにモデルさんに着せたいというお客様や、ガーデンのパターンが大好きで「ガーデン」の世界に入りたいというお客様がいらっしゃったんです。
MarMuの世界観をこれほど好きになってくださる方がいるのなら、ぜひその想いに応えたいと思って撮影サービスを考えました。
MarMuの着物を着て、世界観にぴったりのヘアメイクで撮影。
デザイナーとして、カードなどの印刷物を作った経験もありますし、ガーデンやドットなどシリーズごとのフレームやフォトブックとセットでプレゼントするのも喜んでいただけるんじゃないかなと思っています。
amuco.
私たちのやる気もスキルも十分なので、ぜひお問い合わせお待ちしております!
麻美さんとamuco.さんが代わる代わる語ってくださったMarMuの裏側。
一人一人のお客さまにぴったりの着物を作ってあげたいという真摯な気持ちと、ものづくりのプロとして完璧を求めるストイックな姿勢が感じられるインタビューでした。
オリジナル撮影サービスの実現が楽しみですね。
MarMu Official Site :http://www.marmu.jp/
Instagram:@marmu_kimono
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趣通信編集部スタッフの島田ちあきです。 着物デザイン事務所で働いたことがきっかけで着物好きに。 趣味は海外でアートな写真を撮ること、イラストを描くこと。 着物コーディネートや和グッズの情報はもちろん、普段はなかなか見えない、背景にあるモノづくりの情報も発信していきます♪
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