趣通信代表のケビンです。
着付けの時に「衣紋(えもん)が詰まる、衣紋が上手抜けない」と悩んだ経験はありませんか?
実はこれ、着付けで一番多いお悩みなのです。
そこで今回は奈良でアンティークキモノショップを運営されている、ヒメノルミさんに解説して頂きながら、上手に衣紋が抜けない3つの原因とそれぞれの解決法をご紹介します。
目次
【衣紋抜きのコツ】衣紋が詰まる・衣紋が抜けない!衣紋の抜き方のコツ
そもそもなぜ着物を着るときに衣紋を抜くの?
衣紋とは着物の「後ろ衿」の部分のことです。
着物を着る時、男性は衣紋を抜きませんが、女性は衣紋を抜いて着物を着ます。
それでは、そもそもなぜ女性は衣紋を抜いて着物を着るのでしょうか?
それは以下のような理由です。
- 衣紋が抜ければ抜ける程、着姿が女性らしく色っぽい印象になる
- なで肩に、首は長く、背中は小さく華奢に見える
反対に、衣紋が抜けていないと肩幅は広く、首は短く、背中は大きく見えてしまいます。
長襦袢で作った衣紋の抜き具合は着物を着ても変わることがないので、長襦袢の絵紋が上手に抜けるかどうかは着姿全体の印象を大きく左右するとても大切な部分になってくるのです。
【衣紋が上手に抜けない原因その1】長襦袢を着る手順が間違っている
衣紋が上手に抜けない原因の1つに、長襦袢の着付け手順の間違いがあります。
以下、間違った手順もふまえながら、上手に衣紋を抜くための正しい長襦袢の着付け方を解説していきます。
正しい長襦袢の着方1:長襦袢を羽織る
長襦袢を羽織ったら体の真ん中で衿先を同じ高さに揃えます。
こうすることで、着物の背縫いの部分を背中の真ん中に合わせることができます。
正しい長襦袢の着方2:衣紋は「面」で抜く
長襦袢の着付け手順を解説している書籍などでは「背縫いの中心を持って長襦袢の衿を抜く」という方法が紹介されています。
しかし、長襦袢の背中は面になっているため、背縫いの部分だけを持って点で衿を抜いても、布が元の状態に戻ろうとしてしまいます。
衣紋を抜くときのポイントは「肩甲骨の下を両手で持ちそっと抜くこと」です。
こうすることで、衿を面で抜くことができるので、長襦袢全体の位置が安定し布が戻らなくなります。
この時の抜き具合は、よく「こぶし一つ分」と言われますが、あまりピンとこないという方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そこで、こぶし一つ分のだいたいの目安をご紹介します。
長襦袢を羽織ると、最初は衿と肩の間に隙間があります(衿全体が肩に密着していない)。
衣紋をゆっくり抜いていくと、衿が肩にぴたっと密着するところが出てきます。
これが「こぶし一つ分」の目安です。
この位置に襦袢がくると、衿と肩との摩擦で襦袢が重たくなり安定します。
衿が肩にぴたっとフィットする位置がベストです。
正しい長襦袢の着方3:衿合わせの衿は斜め上に動かす
衿合わせの時に、衿を前や横に引っ張ってしまうとせっかく作った衣紋の抜きが詰まって崩れてしまいます。
衿の胸の下を持ち斜め上に直線に動かし衿合わせします。
反対側も同じように斜め上方向に持ち上げ、衿合わせをします。
こうすると、後ろに抜いた衣紋を引っ張る事なく衿合わせすることができます。
正しい長襦袢の着方4:胸紐は後ろでしっかり締める
合わせた衿が崩れないように手で押さえながら、胸紐を胸のすぐ下に掛けます。
左から後ろまで紐を持っていってから、今度は右側を後ろまで紐を回します。
背中で一度しっかり締めましょう。
胸紐の締め方がゆるいと衣紋が崩れる原因になってしまいます。
紐を前に回し、2回からげて締めた胸紐に挟みます。
正しい長襦袢の着方5:胸紐より上のたるみやシワはしっかり取る
長襦袢の胸の部分のたるみも着崩れの原因になります。
背縫い、肩甲骨の下の布を下に引っ張り、前側の長襦袢のたるみ、後ろ長襦袢の襦袢のたるみをしっかり取りましょう。
正しい長襦袢の着方6:伊達締めで衿合わせと衣紋の抜きを固定する
伊達締めをバストトップの高さで締め、衿元を押さえます。
これも後ろでしっかり締めて、胸の下で二回絡げて締めた伊達締めにはさみましょう。
衣紋がしっかり抜けた正しい長襦袢の着付けの完成です。
【衣紋が上手に抜けない原因その2】補正が足りていない
補正が十分でないと着崩れに繋がってしまいます。
着物を美しく着るためには、補正がとても大切です。
直線断ち、直線縫いで出来ている着物を着崩れなく美しく着るためには、補正で体のラインの凹凸をなくし寸胴にする必要があるからです。
特に後の部分、背中からヒップにかけての体のラインには凹みがあり、ここをタオル等で補正せず、そのまま長襦袢を着てしまうとせっかくしっかり締めた胸紐がくぼんでいる方へと下がってしまい、紐がゆるんでしまいます。
胸紐が緩むと衿元も崩れ衣紋もグズグズになってしまいます。
補正のポイント1:背中からお尻の凹みにタオルを当てる
お尻の上の凹みを埋めるように折りたたんだタオルを当て補正します。
タオルが胸の下くらいの高さになり、お尻にはかからないようにするのがポイントです。
補正用パットなど市販の補正用品もありますが、タオルでも十分補正できます。
また上の写真のようにウエストのくびれの部分にも縦に2つか3つに折りたたんだタオルを巻き、体のラインをさらに寸胴型に整えましょう。
【衣紋が上手に抜けない原因その3】いかり肩のせいで衣紋が上手く抜けない
いかり肩の人は衣紋を抜いたつもりでも、どこか衿がつまった印象になってします。
いかり肩の人は衿の円周が小さくなってしまうからです。
前側も、きれいに着ているように見えても、首が短くなって肩が目立ってしまいます。
いかり肩の人は次のようなポイントを参考に長襦袢の着付けを行いましょう。
いかり肩の長襦袢着付けポイント1:はっぴを羽織るようなイメージで肩に掛ける
いかり肩の人が長襦袢を羽織る時には、「はっぴ」を羽織るようなイメージで首から離して肩にかけます。
この状態で後ろに回り、肩甲骨のあたりを持ちながらゆっくり衣紋を抜きます。
こうすることで衿の円周が大きくなり、首が長く見え、肩幅も小さく見えるようになります。
前から見ても首が長くなで肩に見えます。
これまでご紹介した衣紋が上手に抜けない3つの問題は一つだけが原因というわけではなく、複合的に起こるものです。
着付けの手順、補正、体型を含めて長襦袢の着付けの方法を一度チェックしてみましょう。
【衣紋が上手に抜けない原因番外編】長襦袢のサイズが体に合っていない
リサイクルやもらいものの長襦袢の中には、自分の体型に合わない長襦袢もあります。
特にサイズの小さい長襦袢の場合には、身頃の幅が足りず胸を覆いきることができないため、着崩れの原因になってしまいます。
そこでおすすめなのが、二部式の長襦袢や筒袖の半襦袢です。
肌襦袢のような形で、衿の部分に半衿を付ける事ができます。
アンティーク着物の場合、裄の長さ(背中心から袖口までの長さ)や袖丈がまちまちで、サイズの違う着物一枚一枚に長襦袢を合わせて揃えるのはとても大変です。
筒袖の半襦袢ならどんな着物にも合い、コットン素材なのでそのまま洗濯機で洗え、さらに着崩れしにくいというメリットがあります。
また、長襦袢の代わりに半襦袢を着ると、脇にスリットが入っているので体のサイズに合わせてしっかり胸を覆う事ができます。
筒袖の半襦袢は、ネットで2~3千円で購入可能なので、お値段的にも大変リーズナブルです。
ただし、購入した時には脇の縫い目がスリットが短いこともあります。
そのような場合は自分で縫い目をほどき、スリットを開けましょう。
こうすることで衿をしっかり合わせる事ができ、理想の衿元を作る事ができます。
アンティークキモノ ヒメノルミさんの詳細についてはこちらをご覧ください。
【アンティークキモノ ヒメノルミ】
HP(ネットショップ):https://himenorumi.net/
ブログ:https://ameblo.jp/himenorumi/
Instagram:https://www.instagram.com/himenorumi/
Twitter:https://twitter.com/himenorumi
Facebook:https://www.facebook.com/himenorumi/
編集部おすすめ記事ピックアップ
<YouTube動画で販売促進|着物業界>
YouTube運用代行「カケアイ」
<YouTubeを活用して着物の販売促進をお考えなら!>
おすすめYouTube運用代行会社10選