江戸の藍商人の世界へタイムスリップ!徳島県の藍染め歴史博物館「藍の館」に行きました
目次
日本を代表する染め、藍染めとは?
藍染めとは、藍の葉を発酵させた「すくも」を液状にして染める染色方法。紅花染めとともに日本を代表する染色です。
そんな藍染めが盛んに行われていたのが四国の徳島県。江戸時代に建てられた藍商奥村家の屋敷に作られた、藍染めの歴史博物館「藍の館」で館長さんにお話を伺いました。
「『勝ち残る』藍色は縁起がいい!」藍染めが戦国大名の間で大ヒット
今では穏やかな徳島県の水流吉野川ですが、かつては毎年8月に氾濫していたため米作りができませんでした。困った人々は止むを得ず氾濫前の7月に刈り入れができる藍を作り、藍染めを始めたそうです。
藍染めが一大ビジネスになったのは戦国時代。
実は藍染めの染料には藍色だけでなく緑や赤の色も入っているのですが、藍染めの工程を経て発色するのは藍色だけ。そのため「『勝ち残る』藍色は縁起がいい!」と戦国大名の間で大流行しました。軍旗に使用したほか、藍の匂いには防虫効果もあり実用面でも優れていたため、よろいの下の着物にも藍染めが使われたそう。豊臣秀吉が織田信長に藍染めの反物を1000反も献上した話が残っています。
大富豪だった藍商人
藍染めの勢いは「阿波(徳島県の昔の名称)25万石(ごく)、藍50万石」という言葉からも伺えます。「石」とはお米の単位で、1石は1人の1年間の食料分。簡単に言うと、当時の藍染めビジネスの売り上げは徳島県の予算の2倍もある、ということです。
徳島の藍商は全国の藍染めビジネスを独占し、さらに藍染めだけでなく金融業、不動産業も行う巨大な企業でした。
江戸の藍商の世界へタイムスリップ
それでは藍商奥村家の屋敷と、藍染めの工程を表現した紙人形で江戸の藍商の世界を見てみましょう!
こちらが母屋。玄関に入ると・・・広い!店先はいつも藍を買い付けに来る藍問屋の人々で賑わっていたそうです。
こちらは離れの宴会場。お酒、ご馳走、芸者さん・・・。贅沢の限りを尽くして藍を買い付けに来た藍問屋たちをもてなしていたそうです。
屋敷の周囲は一面、藍の畑でした。
藍を発酵させて、藍染めの原料「すくも」へ。すくもが出来上がると俵に詰めて保存します。
染めた糸や布は十分に水洗いして乾燥させます。
検品の様子。練って丸めた「藍玉」にして和紙に押印し、その色や濃淡で品質が決まります。
年末には藍の品評会が開催されました。全国から藍問屋たちが来て大商い。
商談がまとまると出荷準備を始めます。
川沿いの倉から全国に出荷します。
徳島県「藍の館」へ
今では日常生活のなかで関わる機会が少ない藍染め。でもほんの数代前までは巨大産業でたくさんの人々が藍染めを仕事にしていたんですね。もしかするとあなたのお祖父さんやお祖母さんのお家では藍染めをしたり藍を売ったりしていたかもしれません。
日本のテキスタイル界を引っ張っていた藍商人。「藍の館」へその世界を覗きに行ってみませんか?藍染め体験もできます。
詳しくはこちら
【徳島・藍染め体験】深い青の上質感が魅力。藍染め体験をご紹介
〒771-1212 板野郡藍住町徳命字前須西
電話:(088)692-6317
開館時間:9時から17時
定休日:毎週火曜日(祝日はオープン)
アクセス詳細はこちら
http://www.town.aizumi.tokushima.jp/ainoyakata/annai.html
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趣通信編集部スタッフの島田ちあきです。 着物デザイン事務所で働いたことがきっかけで着物好きに。 趣味は海外でアートな写真を撮ること、イラストを描くこと。 着物コーディネートや和グッズの情報はもちろん、普段はなかなか見えない、背景にあるモノづくりの情報も発信していきます♪
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