趣スタッフのちあきです。
近年お料理がブーム。美味しさには味そのものだけでなく、食材の色や食器といった見た目も大きな影響を及ぼしますよね。
今回は、和モダンテーブルコーディネーターの光田愛さんに毎日の食事を楽しくするテーブルコーディネートについてお話を伺いました。食事をもっと美味しくいただくための学びがたくさんありました!
和モダンテーブルコーディネーター
光田愛
広島県広島市出身。
1994年から今日まで、一貫して西洋の文化に和を調和させた「和モダンスタイル」のテーブルコーディネートを追求する。
自らの「和モダンスタイル」のテーブルコーディネートをテーマにした作品を創り続け、家庭画報主催「祝いの食卓大賞」優秀賞や、「優しい食事」主催テーブルコーディネートコンテストにて近畿、大阪商工会議所顕賞受賞など数々の受賞実績を持つ。
2009年5月にはパリで、同年9月にはNPO法人「和食と文化とおもてなしニューヨーク2009」より依頼され、ニューヨークのカーネギーホールにて、バンケットホール責任者として会場全体のコーディネートの総指揮を任せられる。
2010年12月には一般社団法人和みの会のシンガポール国際交流会でも作品を披露するなど、グローバルに活躍。
このような創作活動の傍ら、自ら主催するテーブルコーディネート教室「belleTable ベルタブル」をはじめ、NHK文化センター広島・青山教室の講師として数多くの光田愛のスタイルを継承する人材を世に送り出している。
公式サイトはこちら
目次
美しい食器、買っただけで満足しないで!和食器店から始まったテーブルコーディネート
ちあき
光田さんは和のテーブルコーディネート第一人者としてご活躍です。どのような経緯で食空間の演出を手がけるようになったのですか?
光田
もともと、広島で母が開いた和食器の会社を二代目として運営していました。私と母で全国の器の中から美しいもの、本物を選りすぐり、値段に関わらず本物の良い器をご提供していました。
そんな中、なんとお客様が器を買っただけで満足してしまっていること、良い器は普通のお料理には使えないと思って食事に使用されていないことがわかったんです。
良いものだから使わないのでなく良い食器だからこそ毎日の食卓を美しくするために使ってほしいと思い、和食器を使ったコーディネートを教えるおもてなし教室を始めました。地元では珍しかったこともあって満員御礼になったんです。
あるとき雑誌「家庭画報」のテーブルコーディネートコンテストに応募してみたところ、思いがけず優秀賞を受賞して。あちこちから取材や講師としてのオファーが来て、本格的に和モダンテーブルコーディネーターとして活動していくことになりました。
活動の場を東京に移してからも様々な機会を得て、パリやNY、シンガポールなど海外でもコーディネートを発表してきました。今年からは上海で定期的にテーブルコーディネートの勉強会を開いています。
「今日から使えるテーブルコーディネートを」日常使いのコーディネートを探る
ちあき
おもてなし教室を始められた当時の日本にはテーブルコーディネートの概念がほとんどなかったそうですね。
光田
はい。そのころ一般的にテーブルコーディネートといえば、海外のホテルやレストランで見るような非日常の演出手法でした。巨大なテーブルに真っ白なクロス、色とりどりのお花にキャンドル。白いお皿を何枚も重ねて。
確かにゴージャスですが、そのテーブルで今日の晩ご飯を食べたくなるでしょうか?
私は当初から毎日の食事の場面で使う器のコーディネートを提案したいと思っていました。リアルでないものは魅力的に映らなかったんです。そこでテーブルコーディネートをもっと日常使いできるものとしてアレンジしていったんです。
例えばテーブルコーディネートが生まれた西洋と日本では食べるものが違うため、西洋の食器では食べにくいことが多いんですよ。スープはスプーンですくって食べますが、お味噌汁は器を持って直接飲みますね。和食器は手に取ることが多いので、熱伝導を抑えるように作っていることが多いんです。そこでディナー皿の上にはスープ皿でなくお椀を置いてみたり。
テーブルコーディネート業界の方には「もっと華やかにしなきゃ」なんて言われたりもしましたが、私は「今晩の夕食から使えるコーディネートだけをする」と決めて、西洋のテーブルコーディネートの手法に日本のお料理や器をミックスさせるスタイルを続けました。
当時そのようなスタイルのコーディネートは他にありませんでしたが、近年和文化の素晴らしさが再注目されて和のコーディネートも広まってきましたね。
おすすめは漆の器。食事が最も映える器です
ちあき
私も和のテーブルコーディネートに挑戦したくなりました!まずひとつ和食器を買うなら何がおすすめですか?
光田
何と言っても漆の器です。海外では陶磁器がチャイナと呼ばれるように漆はジャパンと呼ばれ、世界に向けて日本を代表する器。料理がとても映えて美味しそうに見えるんです。
真っ白のお皿を使う人は多いのですが、レストランでそれが美しく見えるのは、副菜やソースで飾られたカラフルで凝ったお料理がのっているから。
豆腐や魚をちょっとのせるだけでも美しく見えるのは赤や黒といった漆器なんです。日常使いの和のテーブルコーディネートには欠かせません。ぜひお家で使ってみてくださいね。
高いとか扱いにくいとかよく誤解されていますが、探せばお手頃なものもたくさんありますし、天然木に本漆を塗った本物ならばそう簡単に色が剥がれることはありませんよ。
漆の製造工程を見学に行ったことがありますが、一つの器に込められた歴史の長さ、精緻なつくり。職人さんが丹精込めたお仕事の結果なのだと思うと、より漆に愛情がわくとともに、この伝統を絶やしてはいけないと思いましたね。
テーブルコーディネート界にも、日本の食卓にも新しい概念を作り出した光田さん。
後編では、良い器を使って食空間を作ることで起こる素敵な変化についてお聞きしました。
食育から縁結びまで。和モダンテーブルコーディネーター光田愛さんが語る、器が起こす変化《後編》
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