たんすで眠っている着物が染め直すことでこんなにも蘇る!(実例あり)
目次
無地のきものを染め変える
一番分かりやすい無地のきものの染め直し。
仕立てあがっているきものを一度解き、表地と八掛(きものの裏地の裾の方の部分)を違う色に染め直します。
胴裏は洗い張りをして、再度仕立て直します。
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染め直す際には、基本的には元の色より濃い色にするのが基本となります。
色を抜く場合でも真っ白に抜けるわけではないため、少し濃い目の方が綺麗に染め上がるためです。
また、色がついているために見えなかったシミやヤケなどが、地色を薄くすることで見えてしまう場合もあります。
柄のあるきものに色をかける
続いて、附下や小紋など、柄のあるきものに色をかけることもできます。
小紋など全体柄の場合、柄だけ染まらないようにして地色を変えるのは不可能です。また、附下などで柄ふせできるけど、柄自体が派手な場合に行います。
作業としては無地のきものの染め直しとだいたい同じにはなりますが、無地のきものと比べて元々の柄の配色などを考慮する必要があり、色を選ぶ上で最も難しい染め直しでもあります。
薄いクリーム色に赤を中心とした花柄が染められている附下を地味にしたいとお持ちになった方の事例です。
地色と柄の色との差があるほど派手になるため、このように上から一色かけるだけで、全体としてかなり落ち着いた印象になります。
次に説明する柄活かしの染め直しよりは手間がかからないため、費用も抑えられるメリットがあります。
柄のあるきものの地色だけを染め直す
附下や色留袖などで、柄には色をかけずに地色のみ変えたい場合に行います。
柄に染料がかからないように、柄をすべて糊でふせ、地色のみを刷毛で染めていきます。
3つの中で最も手間がかかる作業です。
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柄はのりで伏せて、地色のみを変えるので、柄の雰囲気は変わりません。
ただし、全体に色をかける場合に比べて手間がかかるため、費用もかかります。
染めの作業
今まで説明してきた染め直しの作業。実際の職人さんの仕事を少しだけ紹介しましょう。
今回は無地の染め直しを例にして説明します。
染める前に一度生地を洗ってから、染め職人の手に渡ります。
染料の入った数種類の瓶から、希望の色に染め上がるように職人の勘で調合します。
だんだんと希望の色に近づいてきたら、一部生地を乾かして色を確認しながら染めていきます。
染め上がったらよくゆすいで、今度は色を定着させるために蒸します。
その後、乾いた生地に布のりを引いて湯のしで仕上げて終了です。
いかがでしたでしょうか?
きものを大事にする先人の知恵が、今でもしっかりと残っています。
きものの素晴らしさを少しでも伝わったら嬉しいです。
次回はきものを別のものに再生させる方法をご紹介させて頂きたいと思います。
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だるまや京染本店の6代目 八木賢一です。 大学卒業後4年間会社勤めを経験し、2008年4月から呉服屋兼洗張職人として修行中です。 今まで学んだきものに関することを、たくさんの方に知っていただけたら嬉しいです。 きものに関することでお悩みの方は、どんな些細なことでも遠慮なくご相談くださいませ。
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