四季を楽しむ文化の色濃い日本では、季節により着物を自分で着分けるのは楽しみでもあります。着物の仕立てや素材など、季節の着分けの基本ルールを知った上で、その気候や地域により、四季を生かした装いをしましょう。今回は季節ごとの色合わせや柄の着こなしを紹介します。
目次
春の着こなし
3月はまだまだコートが手放せませんが、気分は春めいてきます。まずは、装いの色から春を取り入れましょう。ピンクや若葉色など、やさしいパステルカラーは洋服でも和服でも春らしい色です。桜の時期が過ぎる頃には、藤色や緑色系を取り入れます。暑くなり始める5月は、涼しげな色で夏の訪れを予感させましょう。初春から初夏へ向けて、季節の移り変わりを感じる色を取り入れましょう。
夏の着こなし
夏はできるだけ涼しく着ることが装いのコツです。モノトーンは凛としてひんやりとした印象を与えます。黒の薄物なら、透け感が引き立って涼しげです。また、極薄い色同士も色合わせもしやすくおすすめです。通常、文様は季節を先取りするものですが、夏の文様にはあえて雪輪などの冬をかんじさせるモチーフなどを取り入れて涼を演出することもあります。
秋の着こなし
お彼岸(9月23日前後)を過ぎたら、秋を表現しましょう。涼を取り入れた夏とは逆に、茶や深みのある赤などで温かみを演出します。色選びのコツは、秋なると色づく葉や果実、木の実を連想させることです。朱色やからし色、茶色で紅葉や銀杏の葉を、深い紫や橙(だいだい)で葡萄(ぶどう)や柿の実を表現します。味覚も視覚も自然の恵みに感謝しつつ、着物を存分に楽しみましょう。
冬の着こなし
枯れ葉が散り落ちる冬は、自然の色がめっきりと少なくなります。引きかえに、街はイルミネーションで華やかになります。装いも、秋のやわらかい色合いから、華やかさを加えたメリハリの利いたコーディネートを楽しみましょう。クリスマスや忘年会、お正月には装いを華やかにしてくれる帯を持っていると便利です。着物がシンプルでも、帯と小物を華やかにすると、いつもの着物がパーティー仕様になります。
季節を問わない袷の着こなし
着物や帯の文様には季節がありますが、着物や帯を季節ごとに揃えるのは大変です。袷の時期であれば、季節を問わずに着られる文様を選ぶと着回しが利いて重宝するでしょう。ここでは、春、秋、冬の三つの季節に使える柄の選び方を紹介します。
無地
無地なら季節を問わずに着られます。色に関しては決まりはないので、淡い色合いの暖色や黄色、黄緑色なら、春、秋、冬のどの季節にも合わせやすいでしょう。
季節を問わないモチーフ
吉祥文様としてパターン化した柄は季節を問いません。実際に存在しない唐花や唐草なども季節感のない柄といえます。ほかに、源氏香(げんじこう)やかんざしなどの道具類、兎や雀などの動物、海外から入ったオリエンタル文様やコプト文様、更紗文様などがあります。
四季のモチーフ
四季の草花が描かれている場合は、季節を問いません。
幾何(きか)文様
縞、格子、市松、七宝繋ぎ、青海(せいがい)波、籠目(かごめ)などの幾何文様は万能です。ただし、色を抑えたものを選びましょう。
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