800年以上の歴史ある伝統工芸品「鎌倉彫」の展示会が三溪園にて開幕
鎌倉時代から、神奈川県・鎌倉の地で800年の時を超えて受け継がれる伝統工芸「鎌倉彫」。桂の木材に、日本的な草花の絵柄を中心に力強く大胆に彫刻し、柔らかさとあたたかみを出した漆塗りの工芸品です。そんな鎌倉彫の作品展示会が本日より神奈川県横浜市の重要文化財「旧燈明寺本堂」にて開催されますのでご紹介させて頂きます。
鎌倉彫とは
鎌倉彫は木に彫刻をして漆塗りをした木彫彩漆とよばれる工芸です。
その歴史は古く、今から遡って鎌倉時代―源頼朝が鎌倉に幕府を置き、中国との交易によって禅宗文化が花開いた時代―、禅宗寺院との関わりのなかで生まれました。当時多くの寺院で仏像や仏具制作に携わっていた仏師らは高度な木彫技術を持ち、鎌倉彫誕生に大きな影響を与えたといわれています。この技術が基盤となり、舶来した「彫漆」(漆を塗り重ねた面に、精巧な文様を彫刻した漆芸品)を模して考案されたものが鎌倉彫のはじまりと考えられています。今に残る建長寺所蔵の須弥壇や円覚寺所蔵の前机などは鎌倉彫の祖形として知られ、仏師らの優れた技術を伺うことができます。
鎌倉彫 -燈- イベント概要
木内伊作氏、宍倉幸氏、木内史子氏、森本勒弥氏、4作家の作品が展示されます。
開催日:2015年5月27日(水)~ 31日(日)
時間:9:00~16:30(最終日は15:00まで)
会場:三溪園内 重要文化財「旧燈明寺本堂」
住所:神奈川県横浜市中区本牧三之谷58-1
参加費:入園料のみ(大人500円・小学生200円)
三溪園公式ホームページ
鎌倉彫の歴史
室町時代は寺院用仏具としての香合が多く制作されました。
なかでも京都金蓮寺や智恩寺に伝わる屈輪文大香合は制作年の銘が残る貴重なものになります。それらは屈輪文と言われる渦巻文様が多く、唐物を意識したものから徐々に発展していき、日本独自の鎌倉彫として確立していきました。江戸時代には仏具に留まらず、生活雑器にも広がりはじめました。
この時代、最も顕著な流れは茶道具にみられます。茶道文化の普及と共に需要も増し、茶道具としての鎌倉彫が盛んに制作され始めるようになりました。香合、茶入、盆、茶箱などのなかでも、特に香合が多くを占めています。明治維新以降、神仏分離令と廃仏毀釈によって、多くを数えた仏師は後藤、三橋家を残すのみとなりました。2軒の仏師は、この転機に生活の中で使われる工芸品を作ることに力をそそぎ、茶托、銘々皿、盆、菓子皿などが制作されました。初期は仏器的香りを残しながらも、のちに後藤、三橋家それぞれ独自の作風をみることができます。これらは、古典鎌倉彫の基盤の上に新しい技法や意匠の模索があり、鎌倉彫として新しい発展をみせる分岐点となりました。
戦後、日本の復興とともに鎌倉彫は大きく生産を増加させ1979年、当時の通産省から伝統的工芸品としての指定を受けました。
現代の鎌倉彫は明治の鎌倉彫技術を基礎にしながらも、これを打破するべく新鮮なデザインを模索した作品が制作されています。
それらは従来の食器や家具の他に、近代的な空間に調和されたインテリアとして、その範囲もさらなる広がりをみせています。
時代と共にその姿を変えながら受け継がれている伝統工芸品である鎌倉彫。展示会が開催される三溪園では、盆栽約100鉢をが展示されているさつき盆栽展も開催されていますので、初夏のすがすがしい園内で伝統工芸に触れてみるのも良いかもしれませんね。
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