うちのだるまや京染本店では、きものを洗い張りしてお客様の寸法に仕立て直すのがメインなのですが、最近はリサイクルきものやアンティークきものをお持ちになるお客様が増えました。
ただ、きものによって、お客様の寸法に直せる場合と直せない場合があります。
今回は、そういったアンティークきものやリサイクルきものを買う前に、「これだけはチェック!」というポイントをご説明したいと思います。
目次
アンティーク着物やリサイクル着物を買う前に注意したいチェック項目
洗い張りをして着る方の寸法に仕立て直せる条件が2つあります。
1. 洗い張りができるか?
2. 着る方の寸法にできるか?
順番にご説明します。
アンティーク着物やリサイクル着物を買う前に注意したいチェック項目
アンティーク着物のチェックポイントその1. 洗い張りができるか?
まず洗い張りができるか?についてですが、洗い張りは品物によって出来ない場合があります。生地が弱い場合と、色がにじむ・金加工が落ちる場合です。
どちらも買う前に判断することは非常に難しいのですが、一例としてアンティークきものは9割弱いと思ってください。特に、紅絹(モミ)と言われる、赤い胴裏が使っているものはほぼ洗い張りできないくらい古くて弱いです。色がにじむ・金加工が落ちるかどうかについてもやはり古いものは難しい場合が多いです。
アンティークきものは洗い張りして仕立て直すことが難しいため、「そのまま着ることを前提に買う」方が良いと思います。
アンティーク着物やリサイクル着物を買う前に注意したいチェック項目
アンティーク着物のチェックポイントその2. 着る方の寸法にできるか?
洗い張りができる場合でも、次に着る方の寸法に仕立て直せるとは限りません。寸法が足りない場合として、主に身丈が足りない場合と、裄が足りない場合があります。せっかく購入しても自分の寸法にできないのでは悲しいですよね。こちらは覚えておけば比較的簡単にチェックできます。
まずは、裄ができるかどうかを説明します。
(わかりやすくするため、単衣(ひとえ)のきものを使って説明します。)
まず購入する前にそのきものの袖幅を測ってください。
こちらが袖幅。このきものは34cm(9寸)ですね。
きものは生地の幅が余った場合、切り落とさずに縫い込みます。例えば生地が38cmあり、着る方の袖幅が31cmだった場合、余った分は縫いこんでおくのです。裄は袖口側はギリギリに縫い、振り側に余った部分を縫いこむことになっています。
上の画像をみていただくと、少しだけ余った生地が縫い込まれているのが分かると思います。とはいえ、この場合1cm出せるかどうかというところだと思います。だいたい縫い代を1cmと考えて、それ以上縫い込まれている分が長くなると思ってください。このきものは袖幅35cm弱くらいまでできるということになります。
袖幅と肩幅を合わせたものが裄(首の後から手の先までの長さ)です。
一般的にきものは袖幅の方が肩幅より広くするものなので、袖幅が理想の寸法になれば、肩幅も理想の寸法になります。この画像は単(ひとえ)なので分かりやすいですが、袷のきものの場合は、振りの部分を触ってみて、だいたいどの程度縫い込まれているか測ってください。胴裏もあるので少しむずかしいですが、慣れるとできるようになると思います。
着る方が160cmくらいであれば、袖幅が34cmにできれば着られると思います。
ここでは説明を省略しますが、慣れてきたら袖丈も測ってください。袖丈の縫い込みも袖の裾の方を触ればわかります。だいたい49cmにできればなんとかなるでしょう。ただ、袖丈は短くても我慢して着られるので慣れてきたら測る、で構いません。
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